ビタミンD欠乏症の最も一般的な原因は、太陽の光を十分に浴びないことです。
ビタミンDが不足すると、筋肉や骨が弱くなり、痛みを感じる、慢性疼痛はビタミンD不足が原因の一つである。
ビタミンDのうち、次の2種類が栄養として重要です。
ビタミンDは主に肝臓に蓄えられます。ビタミンD2とD3は、体内では活性を示しません。どちらの型も肝臓と腎臓で代謝され、活性型ビタミンD3(カルシトリオール)に変換。この活性型ビタミンD3は、小腸でのカルシウムとリンの吸収を促進。カルシウムとリンはいずれもミネラルで、骨に取り込まれて骨を強くして骨密度を高くします。このことから、ビタミンD3は骨の形成、成長、修復に必要不可欠です。
ビタミンDは、ビタミンA、E、Kと同じく脂溶性ビタミンで、脂肪に溶け、多少の脂肪と一緒に食べた場合に最もよく吸収されます。
ビタミンD欠乏症は世界中でよくみられます。東京慈恵会医科大学 2019 年 4 月から 2020 年 3 月までの期間に東京都内で健康診断を受けた 5,518 人を対象に調査を実施し、98%がビタミン D不足に該当していたことを明らかにしました。
ビタミンD欠乏症では、体が吸収するカルシウムとリンの量が少なくなります。必要なカルシウムとリンが不足するため、ビタミンD欠乏症によって、小児ではくる病、成人では骨軟化症という骨の病気が生じます。骨軟化症では、体内にカルシウムやその他のミネラルが十分に取り込み難い。
ビタミンD欠乏症は通常、十分に日光を浴びていない人や、食事からのビタミンD摂取が足りない人にみられます。天然の(栄養強化されていない)食物だけで欠乏症を予防できるほどのビタミンDが供給できることはめったにありません。ビタミンDで栄養強化された食品やビタミンDのサプリメントが、日光を十分に浴びていないときに欠乏症を予防するために役立ちます。
ビタミンD欠乏症の最も一般的な原因は、日光を十分に浴びていない。
そのため、ビタミンD欠乏症は主として、高齢者や介護施設などの施設に暮らす人など、屋外で過ごす時間が短い人に起こります。また、南北の高緯度地域の冬季や常に全身を覆っている人にも起こることがあります。
一部の専門医は、直射日光を週に最低3回、1回5~15分、腕と脚、または顔面と腕と手に浴びるように推奨。
午前中から正午の間に日光浴をすることで、「体内時計のリセット」という太陽光の健康効果を最大限に受け取ることができます。研究からもわかる通り、午後よりも午前中〜正午のほうがビタミンD生成に必要な日照時間が少なくすむため、効率的に日光浴をすることが可能です。
太陽光を浴びる1日の推奨時間は、最低でも夏であれば5〜6分間、冬であれば30分間、日焼けをしたくない方には「手のひら日光浴」がオススメ。冬は日照時間が短く、天気が悪い日が続けばビタミンDが不足してしまうでしょう。
ビタミンD欠乏症の症状
ビタミンD欠乏症は、あらゆる年齢の人で筋肉痛、筋力低下、骨の痛みを起こすことがあります。
筋肉のけいれん(テタニー)が、乳児ではくる病の最初の徴候である場合もあります。そうしたけいれんは、重度のビタミンD欠乏症の人では血液中のカルシウムの濃度が低いことから生じます。妊婦がビタミンD欠乏症になった場合、新生児にけいれんが起こる可能性があります。
高齢者の場合、軽くちょっとした転倒だけでも骨折する可能性があります(特に股関節骨折)。ビタミンDの欠乏は、血液中のビタミンDの値が低いことに基づいて下されます。
ビタミンD欠乏症の予防
欠乏症を予防するために、ビタミンDをサプリメントで毎日摂取するべきです。
母乳にはビタミンDがほとんど含まれていないため、母乳で育てる乳児には、出生時にビタミンDのサプリメントを開始することが特に重要です。食べられるものの種類が増え始める生後6カ月になるまで、サプリメントを投与します。人工乳で育てる場合は、市販の乳児用人工乳に十分なビタミンDが含まれています。
ビタミンD欠乏症の治療
筋肉のけいれんがみられるか、カルシウムが欠乏していると考えられる場合、カルシウムのサプリメントも投与が望ましい。リンが欠乏している場合にはリンのサプリメントが投与されます。
加齢に関連する注意点:ビタミンD欠乏症
以下のいくつかの理由から、高齢者はビタミンD欠乏症を起こしやすくなっています。
ビタミンD欠乏症の治療では、約数か月にわたって高用量のビタミンDを服用した後に、通常は徐々に投与量を推奨量までに減らします。免疫機能の調整にも欠かせないものです。