近年のスポーツ科学の知見によれば、運動やスポーツの継続的実施は、健康増進に効果があり、
寿命を延ばすことが明らかになっています。
2018年9月に発表された『Mayo Clinic Proceedings』誌に掲載された論文は、
運動習慣のある人と運動習慣のない人を比較した結果、平均寿命の差が図の通りとなりました。
さらにスポーツ種目により平均寿命の差があり、中でもテニスが9.7年と1位で、最も寿命の延伸が著しい結果となりました。
コペンハーゲン調査では、デンマーク・コペンハーゲン市内在住の成人8,577名を25年間にわたって追跡調査をし、
スポーツ実施状況や個人の健康状態、社会関係などを調査しました。
スポーツ種目は、スポーツジム活動、水泳、健康体操、サイクリング、ジョギング、サッカー、バドミントン、テニス、他種目に分類。
スポーツ種目によって週当たりの運動時間には差があり、スポーツジムは一番運動時間が長いが、他の運動項目と同様、
運動時間の差による寿命への影響は少ないと考えられます。
平均寿命の延伸は、運動習慣がない人に比べ、テニスが一番長く9.7年という結果が得られました。
調査の結果、寿命を延ばすスポーツの1位はテニス(9.7年)、バドミントン(6.2年)、サッカー(4.7年)、サイクリング(3.7年)、水泳(3.4年)、
ジョギング(3.2年)、健康体操(3.1年)、スポーツジム(1.5年)となります。
この調査の研究では、サイクリングや水泳、ジョギング、健康体操、スポーツジムは個人型の運動で、テニス、バドミントン、サッカーは2人以上で活動する球技で、
参加者同士の交流とコミュニケーションが強いことが特徴です。
コペンハーゲン調査で注目したのは、テニスはすべてのレベルで会話がある。
テニスをしながらコミュニケーションが深まる。自然な形で人間関係がつながることです。
社会的孤立は平均寿命を下げることが研究で報告されているが、テニスは、仲間と一緒にプレイや試合を楽しむことがストレス解消になり、
メンタルヘルスの向上も寿命の延伸に繋がっていると考えられます。
更にテニスは、短距離運動と程よい持続効果のある運動が交差し、有酸素運動能力を改善します。
試合ではボールを追うためにダッシュをしたり、ラリーも続く、短い回復時間の後、次の動作に移るという運動の繰り返し。
中年以上のテニスプレイヤーはダブルスが中心で、プレーの経験から、相手の動作や打点、姿勢によってボールの高さやコースの予測ができ、
運動と同時にメンタルの訓練もあり、相乗効果が働くのです。
ダブルスは4人でプレイすることにより、お互いをカバーしながら、無理なく運動を継続することできます。
また、休憩時間での会話、水分補給、それなりの栄養補給も出来るので、身体全体の負荷が軽く、早期の疲労回復にも適しています。
別の報告からもテニス実施者の健康状態は運動しない一般の方に比べて、肥満・脳卒中・糖尿病が少ないことが報告されています。
定期的にテニスをすることにより、別の意味での人間関係や達成感が生まれ、それが、健康増進に繋がっています。
テニスは最も寿命を延ばす生涯スポーツで、アンチエイジングのモデルといえます。